先日公示地価が発表されましたが、それについてですが、3つのキーワードにまとめて言えば「インバウンド」「局地的」「商業地」につきます。
価格が上がったところは殆どがインバウンドに関係したところになると言って過言では無く、そのエリアは局地的です。
2019年公示地価の全国的傾向
住宅地の上昇が0.6%で会ったのに対して、商業地の上昇が2.8%となっておりました。住宅は空家問題等で土地余り、家余りが進んでおり景気が良くなってもそれ程上昇しませんでした。商業地の上昇が住宅地の4倍以上となっております。
また、この上昇は関東圏、中部圏、関西圏の3大都市圏の上昇が1%であったのに対して、それ以外ではわずか0.2%の上昇でした。
その傾向は商業地でも言えます。3大都市圏は5.1%の上昇だったのに比べて地方圏はわずか1%のみの上昇でした。
全用途に通じて言える事ですが19年の価格はバブルピークの91年の約40%の水準まで戻したという状態です。
全国的な傾向ですが、商業地の上昇の方が高く、それも三大都市圏等の局地的なエリアが引っ張っているという構図です。
東京都内
東京都内では浅草に関係したところが非常に上昇しました。欧米のみならず東南アジアからも旅行者が来るにあたって上野浅草あたりが交通の便も良く重宝されております。(京浜急行・都営浅草線、スカイライナー等)
私が以前日暮里近辺で民泊を提供していた際も3月の花見の時期になると上野公園に近いエリアの稼働率は非常に好調でした。
また、上野浅草近辺は羽田空港からも成田空港からのアクセスも悪くなく、ホテルや簡易宿泊施設や民泊施設等の需要が非常に強いのが特徴です。
北海道
北海道も東南アジアの旅行者に大変な人気があり、その関係で俱知安町等のニセコに近いエリアの不動産価格が高騰しております。
トップの上昇率がスノーリゾートが集積するニセコ周辺の北海道倶知安町内で58.8%だったようです。
このエリアは高級スキーリゾートとなってしまいまして、オーストラリア、香港やシンガポールの富豪が集うところとなってしまいました。
車を走らせ、岩内町の方などに行くとと過疎で廃墟となっている家も多く見かけます。それ程局地的に栄えているという感じです。
北海道等の日経新聞の記事についてはこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42648820Z10C19A3SHA000/?n_cid=SPTMG053
大坂・京都
大坂や京都では黒門市場等の観光客が集うエリアの不動産価格が上昇しました。
また、京都も行くと分かるのですが、京都駅近辺にはホテルバブルの為駐車場等の空き地が点在します。また、多くの建築現場を見かけます。今の価格ではマンション等も建ちづらい状況でホテルしか高い価格を出す買い手がいないという状況になっております。
まとめ
全体的に現在の不動産価格を引っ張っているのはインバウンドでそれも旅行需要に限った感じであるという印象です。その為、価格が上昇しているエリアが局地的になっております。そして商業地が中心です。
例えば、アメリカの不動産等の場合には移民等の長期滞在者もいて、その移民が高度なスキルを持って高い年収を得て、彼らの住む場所が高くなっているという現象がありますが、日本の場合にはその様なインバウンドの長期滞在者が価格を引っ張るという程の力強さはありません。
私が常々空家を早く売却する様にお勧めしているのが上記の様な理由が複合的に関係しております。
日経新聞の2019年公示地価の記事はこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42646940Z10C19A3SHA000/