インバウンド需要の高まりから路線価が引き続き上昇しておりますが、このデータは注意をしながら受け取る必要があります。
路線価が上昇しているのは何度もコラムに書いている通りですが、インバウンド需要のあるエリアに限定されています。それも多くの場合に駅からの距離の近い商業要素の高い物件が多いことです。
インバウンドで盛り上がっている北海道でもニセコ等のエリアは開発が進んで上昇してきましたが、それ以外のインバウンド需要が低い他の北海道のエリアは置き去りにされています。
2019年路線価の全体的傾向
訪日客が増加している大分県などがマイナスからプラスに転じた一方、下落したの県も27県ありました。このうち22県で下落幅が縮小し、大都市圏や集客力のある観光地と、それ以外の二極化傾向は続いています。
東京、大阪、愛知等の都道府県別では19都道府県が上昇しました。沖縄県はなんと8.3%も上昇したそうです。
2019年路線価トップ
トップは34年連続で東京都中央区銀座5の文具店「鳩居堂」前。1平方メートル当たり4560万円の路線価は3年連続で過去最高という事です。実際に売買されたらその数倍だと思いますが、売りにでませんので・・・
東京都心部の路線価
2020年に東京五輪・パラリンピックを控えた首都・東京は18年比で4.9%上昇しました。地点別では近年、お洒落なイメージの定着しつつある北千住駅前の上昇が目立ちました。
足立区千住3の北千住駅西口駅前広場通りの上昇率は20.1%と高かった様です。複数の路線が乗り入れる利便性の高さから、マンション建設も相次いでおります。
ただ、これは東京の俗に言われる「いい所」である山手線内の価格が上昇し過ぎた為に仕方なく外側に流れた投資に引っ張られた点が大きいと私は個人的には思います。
五輪にちなんで江東区の門前仲町2丁目が14.3%も上昇したようですが、新築マンションの価格上昇は兎も角、中古マンションの売買は現場の感覚ではあまり活況とは言えないのが現状かと思います。
タワーマンションは湾岸エリアを中心にまだまだ供給が途絶えませんので、いつかタワマンバブルがはじけるかと思います。(東京オリンピック前後)
地方都市の路線価
高知県等の地方都市が久方ぶりに上昇したのも今年の特徴だという事ですが、高知の場合には南海トラフ地震への備えの要素等もあり若干特殊です。ただ、高知市の中心部にある商店街の路線価が27年ぶりに上昇したという事です。
また、県全体の上昇が0.6%となった大分県ですが大分市や別府市は10%を超える上昇だったようです。これはインバウンドで温泉の魅力やその地域の魅力が見直されたからかと思います。同じ様に、温泉で有名な静岡県熱海市等も4年連続で上昇が続いているという事です。
宅地全体の路線価
日経新聞記事によると全国約32万地点の標準宅地は18年比で1.3%のプラスとなり4年連続で上昇したという事です。上昇率はこの4年で最も高かった様です。
地方にも波及しつつある訪日客の増加や再開発などが地価上昇をけん引しているという事です。インバウンド需要に引っ張られる形ではありますが宅地全体も上昇という形になりました。
日経新聞記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46787370R00C19A7MM0000/?n_cid=BMSR3P001_201907011100
まとめ
2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック、2025年大阪万博と日本でイベントが目白押しですが、それに応じてインバウンドの訪問者が増加するに従って日本の魅力ある場所が限定で大幅に上がって行くのは継続すると思います。
ただ、一般の方の住む住宅地もドンドン上がると錯覚するのは危険かと思います。2025年には高齢者の人口でさえ減少に転じます。住む人が減り、住む家は必要なくなってきます。土地余り、家余りがすぐそこまで来ております。