直近日経新聞の一面にグローバルな不動産市場に変調が見られるという記事が出ておりました。どの様に読み解くか…
日経新聞2019年2月24日で詳しく取り上げられています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41681680T20C19A2MM8000/
グローバルな不動産市場の過去の牽引役
グローバルな不動産市場の過去の牽引役が誰だったかをまずは考えてみたいと思います。グローバルな不動産市場の明らかな牽引役は3つのカテゴリーに分けられます。1.機関投資家による投資2.オイルマネーによる投資3.中華系の方の投資の3つのカテゴリーが世界の不動産市場を引っ張ってきました。
機関投資家による投資
不動産REIT等の機関投資家による投資は現在のところあまり大きな変調は見られないというのが正直なところです。
アメリカのFRBをはじめとした中央銀行の緩和姿勢が大幅に変わっていない事から安定度の高い不動産投資に機関投資家のマネーは引き続き入ってきていると思われます。但し、日本でもそうですが不動産価格が上がり過ぎた為にこれ以上の上値を機関投資家が追ってくるかと言えば疑問です。
資金は潤沢にあるが、買いたいレベルの物件が無いという話を聞くことが富に多くなっております。
オイルマネーによる投資
広い意味でのオイルマネーの投資は特にロンドン等の世界的な都市で非常に力を発揮しました。ロンドンの不動産等はロシアや中東等のオイル関連マネーによる投資が盛んだったと数年前には言われております。
ただオイルマネーに関しては100ドル以上だったオイル価格が50ドル前後で推移するようになり、新規のオイルマネーによる投資は下火になって来たようです。
フィンランドのお客様はロシアマネーによる投資がフィンランドや北欧の都市でも活発であったと言っておりましたが、今は大分変ってきたかもしれません。
中東の対ヨーロッパ投資下火にの記事参照
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41058800Y9A200C1000000/
中華系の方の投資
中国人を含む中華系の方の買いは非常に活発でした。ビザや永住権が取れる関係でカナダやオーストラリア等が特に人気でしたし、それが他のエリアにも飛び火しました。その一部が日本にも来ました。シンガポールや香港に代表される中華系のエリアの大都市は非常に高い価格で不動産が推移した為、代替的に投資できる場所として東京をはじめとする日本の都市にも資金が投下されました。
ところがオーストラリアでは昨年7~9月の住宅価格指数が前年に比べて1.9%下がったそうです。実に6年ぶりの下落だという事です。(2019年2月24日付日経新聞)
中国政府が資本の流出を規制した事も1つの要因の様です。米中貿易戦争もあり、中華系の方の投資が益々増えて行くというよりはピークは過ぎたと考えるべきかと思います。
また、中華系の方の投資は、米中貿易戦争のお陰でかなり大きな変化を遂げてきつつあります。
ファーウェイの役員がカナダで逮捕されたり、オーストラリアで著名な中華系の投資家が入国禁止になったのをご存知だと思いますが、中華系の方がこぞって購入していたカナダやオーストラリア等の国々で危機感が高まって来ております。
また、地元住民との摩擦も大きくなってきました。
不動産価格が上がれば良いかと言えば地元の人達は居住する為の物件が減少し問題となっておりました。
日本の不動産市場への影響
日本の不動産市場に関しては機関投資家が好むような東京でも都心5区の商業エリアの物件は引き続き強く推移すると思われます。銀座や渋谷などの繁華街になります。
一方、東京都でも戸建てエリアはもとより、タワーマンションエリアも頭打ち若しくは下落基調に入ってきていると思われます。特に海外の一等地との比較で買われていた物件等が中華系の方の投資等が鈍化している状況の為その動きは顕著になってくると思います。
数年前なら香港やシンガポールの一等地は2%前後の利回りで、それに引きずられて都内のマンションが安いと言われておりましたが、基準となる香港やシンガポールの不動産市場が頭打ちになってきているようですので、これ以上の上昇は難しいでしょう。
消費税の増税前の駆け込み購入も今回は今のところあまり見られません。
結論としては、「日本の不動産が海外に比べて安い」と言って買いあおっていた先が多かったと思いますが、実際は海外の不動産が安くなってきて、日本の不動産も銀座などを除いて連られて下がり易いというのが現在の状態かと思います。
「オリム(ン)ピック以降の不動産価値が下がる三つの理由」にも書いてますので、気になる方は読んでみてください。
https://www.minato-am.com/booklet/1